憲法9条という「化け物」3

 

化け物には「本体」の他に、対になる「前文」というものがある。前文いわく「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」。つまり、自身の安全と平和を他国民に委ねるという摩訶不思議な一文である。ちなみに、今はこの他国には中国も北朝鮮も含まれている。化け物はこの不都合な内容をひた隠しに隠し、表さないようにしてきた。

そして何よりやっかいなのは、化け物の正体を巡って国会や一般社会で侃々諤々の議論がされており、いまだに正体が一体なんなのかがはっきりとわからない。わかっているのは正体を見極めようとすると、矛盾にぶつかるということだ。

化け物の矛盾、その顕著な例を挙げると。

・9条では自衛権は放棄していないという解釈だが、「自衛戦争」はできるのか? 9条では「戦争を放棄」しているが、独立国が自然に持っている「自衛権」は放棄していない。しかし、自衛のための戦争「自衛戦争」はできないと解釈されている。

・自衛隊は戦力か? 9条では、「戦力の保持」を禁止しているが、政府は「自衛のための必要最小限度の実力を保持すること」は戦力ではないとしている。

・集団的自衛権は「自衛権」の範囲か? 国連憲章51条では「集団的自衛権」を個別的自衛権とともに、各国の固有の権利であると書いてあるが、政府見解では、集団的自衛権は憲法上許されないと解釈している。

・自衛隊は軍隊か? 「自衛隊は憲法における軍隊ではない」という考え方を政府は取っている。自衛隊は必要最小限度の「実力組織」という考え方を取っているが、国際法的には軍隊であるという立場をとっている。

3. 跋扈する化け物
このような化け物は世界広しといえど、日本にしかいない。世界に憲法のある国は190数カ国あるが、その姿を一度も変えていないのは20カ国あるがいずれも小国であり、大国で70年も姿を変えていないのは日本だけである。同じ敗戦国のドイツは51回変えている。

ちなみに一部の人たちが理想としている、永世中立国の「スイス」にさえ、このような化け物はいない。未だに徴兵制があり、予備役兵は動員令の後48時間、いつでも軍に動員することが可能。スイス軍人は自宅に小銃を家に保管してあり、公の施設には弾薬が備えてある。つまり、非武装中立ではなく「武装中立」だ。武装中立はあっても非武装中立は現実にはないことを教えている。

4.化け物の正体を探ろうとした人たち

・鳩山一郎

1955年、日本の独立確保という観点から再軍備と改憲を公約にしたが、改憲に必要な3分の2議席には達しなかった。また、改憲を試みるために小選挙区制中心の選挙制度の導入を図ったが、野党だけではなく与党内からも選挙区割りの反対があり、実現には至らなかった。

・岸信介

1957年、岸は駐日米国大使に文書を送り具体的なシナリオを提示した。不平等条約という批判を聞く米日安保条約を改定した後に、戦争放棄と軍隊保有の禁止を規定した憲法を改定するという提案だったが、新安保条約を批准した後、その混乱の責任を取る形で岸は総理大臣を辞職した。

(続く)

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