MMT理論とオリビエ・ブランシャール理論

最近2つの経済理論が話題になっている。

1つは、アメリカの経済学者ら(アメリカ民主党のオカシオコルテス下院議員やニューヨーク州立大学のステファニー・ケルトン教授等)が提唱した理論で「Modern Monetary Theory(現代金融理論)」の各頭文字をとって「MMT」と呼ばれている。もう1つは元IMFのチーフエコノミストであるオリビエ・ブランシャール氏が提唱した理論である。この2つは似て非なるものだが、「今の日本は財政赤字を継続すべきである」という点では完全に一致している。

1.MMT理論

「自国に発行権がある通貨を持つ国は、債務返済に充てる貨幣を無限に発行できるので、物価上昇が起こらなければ、財政赤字が大きくなっても問題ない」。おおざっぱに言えば、政府はいくらでも好きなだけ支出できて、財政赤字は全く気にする必要はないということだ。重要なのは、自国に通貨発行権があるということだ。例えば、デフォルト危機に陥ったギリシャはご承知の通りユーロ建てで自国通貨発行権はない。また、過去にデフォルトしたアルゼンチンはドル建ての国債を発行しているのでこれに当てはまらない。

MMTへの反論として、インフレになるというものがあるが、MMTは金融政策を行った上で過剰インフレになる政府支出はすべきでない。一定の供給量に抑えるべきだと言っている。つまり、上限があると言っている。

2.ブランシャール理論

これに対してブランシャール氏の理論は、「長期金利が成長率を下回っているなら、財政拡張できる」というものだ。おおざっぱに言えば、MMT理論に「マイナス金利なら」という前提条件をつけたものである。ブランシャール氏は、『日本は特に悪性の「長期停滞」、つまり、国内の民間需要の不足に直面しており、完全雇用を維持するためには、積極的な金融政策と財政政策が必要になる。金融政策に可能なことは全て行ったので、今は財政政策の役割が求められる』と言っている。その理由として3つ挙げている。第1には、「需要を確保するため」。財政が引き締めとなれば、需要が確保できない。第2に、「今はインフレ率がインフレ目標を下回っている点」。インフレ目標の達成のため、経済の過熱をある程度の期間継続する必要がある。第3には、「金融政策への負担を和らげ、必要なときに金融政策を活用する余地を作るため」。プライマリーバランス赤字を多少拡大した方が、金利上昇をもたらすと言っている。

MMT理論とオリビエ・ブランシャール理論も大きな点では日本に当てはまる。日本は、自国通貨が発行でき、自国通貨建て国債であり、日本の政府債務はGDPの240%に達し、主要先進国で突出して高い。ブランシャール氏は、「日本は財政均衡を忘れて、無限の将来まで財政赤字を出すべきである」と言っており、今年の10月から予定されている消費税の引き上げを中止する代わりに、新たな財政政策で財政赤字を増やすべきだと言っている。

MMTも、オリビエ・ブランシャール氏の理論もデフレ時には財政出動すべきと言っている。日本の消費増税はその真逆のことをしようとしている。




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