春準V習志野の試合を決めた「驚異的な粘りと積極走塁」

夏の甲子園大会、大会4日(8月9日)の第2試合に、春の選抜で準優勝した習志野高校が登場した(参照:習志野高校はなぜ敗れたのか)。相手は沖縄尚学。習志野は準決勝で千葉大会を夏3連覇している木更津総合を延長11回の末サヨナラ勝ち、沖縄尚学も沖縄大会の決勝で興南との延長13回の死闘を制し、どちらも県予選を厳しい戦いで勝ち上がってきたチームの好カード。試合前の予想どおり、序盤から激しい主導権争いの好ゲームだった。結果は延長10回、習志野が1点を取り沖縄尚学を振り切った(参照:朝日新聞)。

試合を決めたのは習志野の粘りと積極的な走塁だった。3-4と1点リードされた9回の表1死ランナー無し。雰囲気としてはこのまま沖縄尚学が守りきる感じだった。しかし筆者が思い出したのは千葉大会の木更津総合との準決勝の場面だった。9回裏2死ランナー無し、2ストライクで、もはやこれまで。その場面でも筆者がいた千葉マリンスタジアムは、美爆音とともに歓声が地鳴りのように湧いていた。その声援に後押しされてか、打者がフォアボールを選ぶと、ヒットを連ねて同点に追いつく。そして11回の裏、2死1、3塁からサヨナラヒットが生まれた。

この試合も木更津総合との試合のように、1死から山内選手がヒットで出た後、角田選手が左前にはじき返して同点に追いついた。しかしこの粘りもさることながら、もっと驚いたのは、1死からヒットで出た山内選手が盗塁をしたことだ。もし盗塁を失敗したら2死ランナー無しで敗色濃厚となる。しかも、打者の飯塚選手はツーストライクと追い込まれていた。仮に三振ゲッツーなら即試合終了だった。

解説者は、警戒していないからこそ成功したと言っていたが、正直驚いた。プロ野球、高校野球観戦を長くしてきたが、こういった場面での盗塁を見たことはなかった。習志野の小林監督はヒットが続くこと、またはランナーが返ってくるような長打がでる確率よりも盗塁が成功する確率を選んだのだろう。

そして、走塁が際立ったのはこの場面だけではなかった。2-3の1点ビハインドの5回表、打者の根本選手が打った球は、センター前に落ちるかどうかの判断が難しい打球。しかし、セカンドランナーの角田選手は打球が上がった瞬間に迷わずスタートを切り、サードベースを蹴ってホームへ。きわどいタイミングでセーフ。ほんの少しでもスタートの判断が遅ければホームで刺されていた。

さらに、4-4の同点で迎えた10回の表、ヒットで出たランナーをバントで送って1死2塁の場面。打者の和田選手が強振した打球は、センターの頭上へ。頭を超えるかどうか、これも判断が難しく、セカンドランナーの櫻井選手は、ベースから2メートルくらい離れて捕球されたらタッチアップする構えを見せた。

打球は中堅手のグラブをかすめて落ちた。中継に入った沖縄尚学の二塁手は、櫻井選手の動きを見ていたのだろう、中堅手からの送球を受けると、振り向きざまにサードに投げた。しかし、セカンドランナーの櫻井選手は迷うことなくサードベースを蹴りホームへヘッドスライディング。送球を受けた三塁手は、バックホームできず、虚しくホームインを見送った。

この3つの走塁はすべて、リスクを負ってでも次の塁を狙うという積極的なもので、小林監督が言っているように泥臭く、粘り強い習志野野球の真骨頂だった。今のチームは圧倒して勝つチームではない、だからこそ個々の力を集めて勝つ野球をすると言っていた。まさにこの沖縄尚学との試合は個が結集した野球だった。「春の名残りをいかにとかせん」、習志野は春の忘れ物を取り戻しに来たように感じた。

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